企業の数だけ労務管理の方法がある

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企業の数だけ労務管理の方法がある

 

人もいろいろ、企業もいろいろ

企業には、その業種・規模・地域・収益構造・従業員の構成等々、その数だけ特徴があり、世界広しといえども、全く同じ企業はありません。

それゆえ、企業の数だけ、ふさわしい労務管理のあり方が存在するわけで、就業規則の内容は、それぞれ違ってこなければウソです。

つまり、それぞれの職場に備える就業規則は、公序良俗に反することなく、労働基準法をはじめとした労働関連法(以下「労働法」といいます)に抵触さえしなければ、どのような形であっても良いということになります。

次に、労務管理や就業規則の内容を考えるわけですが、それは労働法の内容を満たしさえすれば良いのでしょうか?
労働法だけ理解して作成すれば、充分なのでしょうか?
本当に労働法だけをクリアすれば、会社を労務リスクから守ることができるでしょうか?
優秀な労働力を提供する、秀逸な人材は、会社の対応に満足して、長いこと定着してくれるのでしょうか?

そうではありません。答えはNOです。残念ながら、労働法だけでは全く足りないのです。

「労働法を遵守してさえいれば、何とかなる」と考えている経営者の方、社会保険労務士の先生は、意外に多いように感じます。

私は、実務を通して、それだけでは十分な労務管理ができないことを、常々感じています。
悩みを解決するために、お客様に対して積極的に根拠をもって解決策をご提案し、具体的事例に対してはどのようなアプローチをしたらいいのか、また、未然対策として、今のこの悩みをどのように就業規則に生かしたらよいのか、どのような条文を作成したらよいのかといったご提案は、私たち社労士の重要な仕事であると考えています。

 

固定観念を捨てましょう

お客様からの相談を受けた場合、労働契約も民事契約の一つであることをご理解いただいています。
そして、その中で、特別法である労働基準法の位置付けがどのようになっているかを、わかりやすくご説明することを心がけています。

労務管理トラブルを労働基準法で解決できるということは殆どありません。

労務管理における約束事の取り決めやトラブル解決のためには、労働条件の最低基準を定めた労働基準法を持ち出すというよりは、当事者同士の話し合いを通じた同意や、どれだけ働く当事者によりよく働いていただくかの働きかけをしたのか等の足跡を踏まえた交渉を通じての合意など、つまり、当事者同士の合意(即ち民法による)形成を重視する、というスタンスを取っています。

その合意形成の前提には、会社として何を望むかということを就業規則内の服務規程等であらかじめ提示しておくことにより、より効果的に「会社の望む合意」に導くことができます。
そう考えると、労働基準法だけを向いた就業規則(お飾りの就業規則)というものは労務管理上全く意味が無く、むしろ、労働基準法や時代に即さない慣習のみにとらわれた固定観念を外し、「会社が働く人に望むことは何か」を就業規則には積極的に書くべきです。

「この世で破っていけないのは、法律と契約(約束)しかありません。もちろん、公序良俗に反してはいけません。それを分かった上で、『会社が働く人に望む』ことを記す」

…こう考えれば労働基準法はあくまでも参考にすべきもの(破ってはいけない法律のひとつ)であって、使用者として就業規則の作成や改定に積極的に取り組もうと思えるのではないでしょうか。